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UXリサーチャーというキャリア

こんにちは!スマートバンクでUXリサーチャーとして活動しているHarokaです。

今年は【RESEARCH Conference】日本発のリサーチカンファレンス

もあり、「UXリサーチャー」という職業に注目が集まり、企業の中でのリサーチ事例などが積極的にシェアされる流れが加速したように感じます。

大変嬉しいことに、リサーチカンファレンス後、「UXリサーチャーにチャレンジしてみたい」という方とお話する機会をたくさんいただきました。中でも、「どうやってリサーチャーになったのか」「未経験からリサーチャーになるにあたってどういったことをすればいいのか」の2つについては必ずといっていいほど聞かれたので、このブログでは、UXリサーチャーというキャリアに興味がある方に向けてN1のケースではありますがご紹介したいと思います。

私のキャリアについて

校正校閲→専業主婦→スタートアップへ再就職するまで

振り返ってみると、事業会社のリサーチャーになる道のりで2つターニングポイントがあったように感じます。

「リサーチャーになりたい!」と思ってキャリアを歩んだわけではなく、自分が置かれた環境で、チームにとっても、ユーザーにとっても良い事業ってなんだろうと考え抜いて行動したらたまたま「リサーチャー」という名前がついたように思っています。

【キャリアの流れ】

校正・校閲→専業主婦→(スタートアップへ再就職)企画職から開発職へ転向→(大手人材会社へ転職)リサーチャー→現在

新卒での就職は、検定試験を運営する協会の校正・校閲者でした。結婚を機に上京し、妊娠・出産のライフイベントがあったため3年ほど専業主婦をしていました。

子育てもかけがえのない経験だと思いましたが、「チームで目標に向かってやり遂げる」「これから子供たちが過ごす未来をよりよくする」ことをやりたい、と思って再就職を決意。

校正・校閲の仕事に絞ると、当時は募集要項が見当たりませんでした。また、今では当たり前になったリモートワークですが、2017年当時はほとんどの会社が出勤ベースで、子供を保育園に預けていないがために応募すらできなかったのが多々...キャリアが分断されると、こんなにも就職が難しいものかと絶望したものです。

新規事業開発の現場での学び

職探しを始めて1年半後、たまたま在宅勤務でライターを募集していたスタートアップと縁があり、企画職のアルバイトとして再就職しました。

ここが自分にとっての一つ目のターニングポイントになりました。新規サービスを展開することになり、新規事業開発担当として、サービスローンチまで併走したのです。

0→1フェーズを最後まで経験したことで、開発で何が必要か、どう整備していくか、何の材料がないと前に進めないのか、何を決断すべきかを肌身で感じることができました。事業目線、開発目線、顧客目線で物事を考える場面が多く、視点の切り替えの訓練ができた時期ともいえます。

事業を推進させるため、やれることなら何でもやるぞ!という意気込みで、「問い合わせのご意見を踏まえて、勝手にポンチ絵を書いて、この機能がこうなったら課題解決するのでは?をエンジニアさんに相談」「広報文脈でのインタビューの毎週リリースを半年間継続した際、事前に相手のこと・業界のことを下調べして質問内容を考え、自分でインタビューしに行って記事を執筆」...など行っていました。

リサーチャーへの転機

校正・校閲の仕事で培ったスキルがQAエンジニアに近しいと感じ、職の幅を広げるため、一時期はエンジニアの勉強をしていました。

何名かのエンジニアの友人に教わっていたのですが、「コードを書ける人は上をみたらいくらでもいる。はろかさんの特性は相手の心を汲んで何を作りたいかコミュニケーションを上手に取れるところだから、エンジニアじゃない別の職種の方がいいと思う。コードを書けなくても開発はできる。」と全員に言われ、「一体何がフィットするんだろう、そういった職種ってなんだろう」と思っていた時、たまたま出会ったのがリサーチャーだったのです。

しかも、転職先の採用面接の場で、のちに上司になる面接官から、インタビューの設計、実査、リリースを行った経験を一定評価され「今まで瀧本さんがやってた仕事は"リサーチャー"じゃないかな。興味あったら、もっと勉強したらいいと思うよ」と言われたのがきっかけでした。これが、二つ目のターニングポイントです。

事業会社のリサーチャーへ

前職の人材業界では、幸いにもシニアリサーチャーの元で徒弟制的にくっついてリサーチ実行、フィードバックを得る機会を得ました。

私は「課題を特定することが最も難度が高く、リサーチャーの腕の見せどころ」と口酸っぱく教わりました。リサーチの中でも、課題が不明瞭だが手法が決まっている、手法から入るなど課題をおろそかにしているケースをよく見かけます。この場合、確実に自己満足で役に立たないリサーチになります。

第三者視点でないと気付けない場面もあるため、キャリアのスタートを徒弟制で始められた私はラッキーとしか言いようがありません。

今でも「●●さんだったらどう考えるだろう」と思い出しながら業務に取り組むことも多いです。以下の文章は、シニアリサーチャーが大事にしていた考え方であり、私の根底に流れているものでもあります。

「リサーチャー」という立ち位置は、ビジネスにおける医者である という言葉を教えて貰ったことがあります。患者が風邪であると言ったときに、 診断をせずに風邪薬を渡してしまっていたら、それは患者の素人意見によって判断しており、医者(プロ)による診断がなされていないと言えます。

リサーチャーは「ペルソナ」を作りたいといった手法ありきの相談がきたとしても、 完全に鵜呑みにするのではなく、ヒアリングを通じて、本当の課題はどこにあるのかを探し、それを解決するようなリサーチを提案します。

引用:新規サービス開発の場で「使ってもらえる」UXリサーチャーの動き方|Cocoda

また、マーケティング、PR、開発などの知見を有していること・あらゆる職種の人に興味を持ち、その人たちとリサーチを掛け合わせた時にどんな効果が得られそうか説明できることが、明文化しづらいですが必須要件ではないかと感じています。

リサーチについてどうやって学びを深めたか

先ほどご紹介したように、OJTでリサーチを行う経験とともに、書籍やYouTube、オンラインイベントなど「UXリサーチ」と名前の付くものを片っ端からインプットしていきました。

<おすすめ書籍を一部ご紹介>

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私は子供が小さく参加が叶わなかったのですが、例えば青山学院大学のワークショップデザイナー育成プログラムや、Xデザイン学校など、学びの場も設けられています。Designship Doでも、サービスデザインをテーマにしたカリキュラムもありますし、UXリサーチから少し広げて体系的に学ぶのも良いのではないかと思います。

こういったコミュニティに参加し、横の繋がりを増やすことで、「現場の事例」や「実践する上での疑問解消」などができるのではないか、と感じています。

インプットとアウトプット

ここで大事なのは、インプットに留まらずアウトプットを必ず行うことで、理解度を深化させる取り組みです。

私は、参加したイベントは社内Wikiに必ず書いてまとめたり、社内勉強会の運営・開催を毎月1回、約2年継続して行うなど、「誰かに伝える」とセットで行うことを意識しました。

リサーチャーは、単にリサーチ実行スキルを上げるだけだと不十分で、例えば「ファシリテーション力」「ワークショップ(場)の設計力」など複合的にスキルを上げていくのが大事だと考えています。

勉強会に参加するだけではなく、「運営メンバーとして関わる」こともスキルアップ文脈で検討してみてはどうでしょうか。

日常でも「リサーチャー」になる

「リサーチャーに向いている人はどんな人ですか?」という問いを受けることがあります。生活者に興味を持ち、観察し、事実と考察を分けて語れるよう訓練することを怠らなければ、リサーチャーとして活動する際、ずっと楽しく続けられる気がしています。

リサーチャーは、思考体力を維持しながらあらゆるところにアンテナをはり、事業とユーザーの間を行き来するのを日常的に行います。(簡単そうに見えますが、泥臭く、神経とパワーを使います)

そのための訓練として、普段からさまざまなことに興味と知的好奇心をもって考えてみることはすぐにでも始められます。私でしたら、現在は金融関連の情報がメインになりますが、それ以外でもあらゆる領域の情報に触れたり、自分の頭で考えることで、思考のトレーニングをしています。

例えば...

  • 店舗やオンラインなど、気になる「体験設計」があればどんな背景でその設計をしたのだろう?と考えてみる

  • 企業からのアンケートに回答してみて、「どんな担当者が何の目的で作ったのだろう」と仮説を立ててみたり「自分だったらこういう設問があると答えやすいかも」など考えてみる

  • 新しいサービスについてアンテナを貼り、気になるものはとりあえず使ってみる、使ってみた気づきをFigmaでまとめて同僚に見てもらう

など、「とりあえずやってみる」こと。それを、次は自分の関わる事業でやってみたらどうなるか?と考えて行動してみること。

...こうやって、リサーチと自分の職務領域を掛け合わせて、できるところから始めていき、行動量を増やし、実績として溜めていくこと。外に目を向けて、コミュニティや学会、社会人大学なども視野に入れ関与していくことです。

行動を続けていれば、きっと「リサーチャー」という職種での活動転機が訪れたり、別の職種で「リサーチもできるPdM」とか「リサーチもできるエンジニア」などで新しい道が広がっていくかもしれません。

最後に リサーチャーとして、常に自分に問い続けていること

良い問いは、深い洞察を導き出します。問いの設定こそリサーチの肝と言えるでしょう。私自身、普段の業務においては「スマートバンクというチームへの問い」を大事にしています。

いくつもある中で、コアな問いを一つご紹介します。

「リサーチ体験」と言い換えられると思うのですが、メンバーが「ユーザーはどう思っているだろう」とふと感じた時に、リサーチャーがいかにキャッチアップし、関わり、最高のリサーチ体験を通じて業務に当たれるかを自分の中の最重要の問いとして大事にしています。

リサーチャー職ならではの専門性を最も発揮するのは、リサーチ実行よりもリサーチ設計ではないでしょうか。

リサーチ設計というと、単発で、リサーチ自体の質を高める「点」のイメージを持たれることがあるし、そのように考えて愚直にやっていくケースも多いのですが、私はそれだと不充分だと考えます。

点のリサーチは、必ず事業推進に紐づいていないといけない。点を打つタイミングも、ここぞという時に意思決定できる状態を狙っていかなければならない。点が線につながって、継続的に事業とチームに示唆を与えられるようにしたい...そんなふうに考えています。

リサーチが、リサーチャーだけのものにならないように。チームメンバーが、ユーザーの存在を身近に感じながら開発することができるように、私はこの問いに応え続けたいと思います。

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まとめ

ここまで、あくまでN1のケースではあるものの、「未経験からリサーチャーになるにはどうすればいいのか」を書いてきました。簡単にまとめます。

  • 「リサーチ」に関連するものは全て貪欲にインプット

  • インプットした知識をアウトプットし深化させる。コミュニティの運営メンバーになるのも良い

  • 日常でもリサーチャー的な思考で物事を考え、訓練する

最短距離で効率良く走ろう、と思わず、どんなことも学びの機会を与えられたと思って、しぶとく、泥臭く行うことです。その覚悟をもって取り組むと、きっと新しい視界が広げてくると信じています。

お読みいただきありがとうございました!

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