こんにちは、モバイルアプリ部のkanekoです。
今回は、モバイルアプリ部で新たに導入した「委員会制度」について紹介します。
これまでのモバイルアプリ部
昨年末にモバイルアプリ部について紹介した記事でも紹介しましたが、弊社では「ミッションチーム」と呼ばれるマトリクス型の組織体制を採用しており、すべてのモバイルエンジニアはミッションチームに所属し、日々の開発を行ってきました。

モバイルアプリ部として横串の活動も行ってはいたものの、ミッションチームでの施策の優先度が高く、部として取り組みたい活動には十分な時間を割けない状況が続いていました。特にモバイルエンジニアの人数が限られていたため、複数のチームを兼務するケースも多く、横断的な改善活動は後回しになりがちでした。
4月からの体制
4月に2名、6月に1名のモバイルエンジニアが加わり、すべてのミッションチームで2名以上のモバイル開発体制を確保できました。これにより、日々の開発を止めずに部としての横断的な改善にも取り組める基盤が整いました。
これにより、これまで手一杯だった状況から一歩進み、モバイルアプリ部として「開発生産性を上げるための活動」にも時間を投資できる体制が整いました。 そこで、部全体でワークショップを実施し、今後注力していきたい取り組みを議論しました。
モバイルアプリ部で取り組む課題の洗い出し
ワークショップでは部として取り組む課題を決めるにあたり、まず現状と理想の共通理解から始めました。
具体的には、
- 今のワンバンクの開発体験を支えていること
- 年度末のワンバンクの開発体験に期待すること
の上記2点について、FigJam 上で意見を出していきました。 その後、各意見を統合して施策に落とし込みながら、Impact × Effort でマッピングしていきました。

結果として、今年度はモバイルアプリ部として注力したい
- 技術投資
- デザイン基盤
に加え、全社で取り組んでいるAI活用を加えたの3領域に集中する方針で合意しました。
これまではこうした部課題を、モバイルアプリエンジニア全員で議論し、合意を得ながら進めていました。しかし人数が8名に拡大した現在、従来の「全員で議論 → 全員で合意」では調整コストや決定リードタイムが大きくなる懸念があります。
そこで、すでに委員会制度を導入していたサーバサイド部を参考に、テーマごとに権限と責任を委譲する委員会制へと切り替えました。各テーマに責任者を置き、スピーディーに意思決定できるようにしつつ、活動内容や成果は部全体で共有することで透明性を確保する設計としています。
各委員会について紹介
各委員会の活動内容を簡単にご紹介します。
技術投資委員会
技術投資委員会は、開発生産性を高めるために、日常の開発で生じる課題の解消と中長期的な技術投資を担当しています。 各OSごとに中長期で取り組むべき課題にマイルストーンを設定し、担当者が旗振り役となってチーム全体で改善を進めています。
Androidでは、これまで継続的に課題として挙がっていたマルチモジュール化を推進中です。9月中にはモジュール化の型を整理しチームに展開、誰もが継続的に取り組める体制を整えることを目指しています。

iOSでは、まずエンジニア同士で集まり開発中の「困りごと」を書き出し、その中から優先度の高いものを順に解消しています。具体的には、R.swift への依存解消や、ビルド時間を計測する仕組みの整備といった取り組みを進めており、将来的なビルド高速化につなげる狙いです。

こうした活動を通じて、日々の開発をより快適にしながら、中長期的に持続可能な開発体制を築いていくことを目指しています。
デザイン基盤委員会
デザイン基盤委員会は、ワンバンクの開発を支えるデザインシステムを常に最新の状態に保つための仕組みづくりを担っています。
デザインシステムはワークショップの中で「ワンバンクの開発を支える項目」として、メンバー全員が挙げるほどモバイル開発を支えるものでした。

しかし、ミッションチームでの施策を優先してきた結果、デザインシステムの最新定義とモバイル実装との間に乖離が生まれてしまう課題がありました。そこで委員会では、まず既知の差分や backlog に溜まっていた改善タスクの棚卸しと消化に取り組みました。
さらに現在は、デザインチームと連携しながら「エンジニアが常に最新のデザインシステムを活用できる仕組みづくり」に挑戦しています。具体的には、定義の変更を検知して即座に反映につなげられるワークフローの策定や、変更内容を追いやすくするバージョニングの導入などです。
こうした取り組みを通じて、UI 実装の効率化と品質向上の両立を目指しています。
AI活用委員会
AI活用委員会は、モバイルアプリ部におけるAI活用を推進することを目的にしています。
これまでも各エンジニアが個別に開発の中でAIエージェントを利用していましたが、活用方法に個人差があり、知見をチーム全体に展開する仕組みがありませんでした。そこで委員会では、モバイルアプリ開発におけるAI活用のナレッジを共有し、仕組みとして活かせるようにする取り組みを進めています。
現在は隔週で「AIモブプロ会」を開催し、iOS/Androidごとに持ち寄った課題を題材にモブプロを実施しています。ドライバーは毎回交代で担当し、ナビゲーターと意見交換しながら進めることで、実践的なAIエージェントの活用方法を共有できています。
また、モブプロを通じて得られた知見や課題を振り返り、Agent Coding に役立つルール整備にも取り組んでいます。
まとめ
モバイルアプリ部で導入した委員会制度について紹介しました。
これまで人数の制約から実現できなかった横断的な改善活動に、ようやく取り組めるようになりました。委員会制度を通して、それぞれの領域での専門性を深めながら、モバイルアプリ部として開発生産性を高めていきたいと思います。
委員会で行った改善活動についてはまた改めて紹介させていただきます。
