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B/43を運営する株式会社スマートバンクのメンバーによるブログです

年100回超えのインタビューを支えるデータベース構築と運用

こんにちは!スマートバンクでUXリサーチャーをしているHarokaです。

少し前になりますが、他社のリサーチに関わるメンバーとオフラインで合同勉強会を行いました!メインテーマは「リサーチデータベースをどう設計し、保守運用していくか」。

スマートバンクでは、年100件を超えるインタビューを実施しており、それらが非リサーチャーであっても自由に閲覧・活用できるようにデータベースを作っています。勉強会では、データベースの設計をどう進めたか、具体的にご紹介しました。

組織によって、より良いデータベースのあり方やタグなどは異なると思いますが、0からデータベースを構築したい方の参考になれば幸いです。

スマートバンクにおけるインタビューデータベース

弊社では、Notion上にデータベースを構築し、インタビューに関しては主に4つを運用しています。

インタビュー運用で用いる4つのデータベース

これらデータベースの役割は、以下の図に示します。

各データベースの役割

3:調査概要から1:発話録、1:発話録から4:対象者などそれぞれのデータベースを参照できるようにしており、どのデータベースにアクセスしても、全体像が掴めるようにしています。

1:発話録が詳細に書かれている場合は、2:動画は無くとも構いませんが、細かなニュアンスを振り返りたい時に便利なので、あえてデータベースを分けています。(発話録の下に動画も添付しつつ、動画だけを一気に振り返るケースを想定しています)

なぜNotionでデータベース管理?

社内のミーティング議事録やあらゆるメモはNotionに記載しています。メンバー全員が毎日開き、閲覧するツールだからこそ、管理場所をNotionに決めました。

例えば、リサーチャーが使い勝手が良いから、という理由で新しいツールを導入してそこで管理した場合、メンバーに学習コストがかかり結局見られなくなる…といったことが起きうるでしょう。普段使いしていて、慣れているツールの大通りで、誰しもが目にする場所にリサーチデータを置いておく方が活用頻度が高まるのではないかと考えます。

インタビュー関連データベースを整理した流れ

私がスマートバンクに参画した2021年冬、CEOの翔太さんが実施してきたインタビューデータが既に100を超えていました。管理方法は定まっておらず、議事録と同等の扱いで保管されていました。

当時は社員数も少なく、どんなリサーチが走っているかはある程度共通認識として取れていたと思いますが、今後組織が大きくなるにつれて、「過去にこんな人いたっけ?」と闇雲に探したり「同じ人に2回インタビューしてしまう」などの事態が発生するのではないかと懸念しました。

理想的なデータベースを描く

そのため、以下要件を満たしたものがあると良さそうと考えました。

  1. 🙂 非リサーチャーがインタビュー発話録データを見た時に、「どのプロジェクトチームで」「どんな経緯で」「何を明らかにするために」「何のリサーチプロジェクト内で」「いつ」「誰に」「どんな内容を聞いたか」が直感的につかみやすいこと

  2. 🙂 同プロジェクトの発話録や動画にアクセスしやすいこと(ひとりの発話録を読んだら、他の人はどう話しているんだろう?どんな人に聞いたんだろう?という疑問が湧きそう)

  3. 🙂 リサーチチームメンバーがインタビュー進行・運営する際の対象者情報データとリンクしていて、リサーチャーが当時の実施状況を振り返りやすいこと

  4. 🙂 複数のデータベースが存在する場合、全体像が掴みやすくなっていること

これらを満たすのを一つで実現するか、複数個に分けるか…などリサーチチームメンバーで相談し、過去の発話録を使ってデータベースの試作を何個か作ってみました。

試作を経て「データベースを分け、連携させる」方針に決め、それぞれのデータベースの役割を定義しました。通常業務と合わせて検討を進め、前項のデータベースの策定に至るまで3ヶ月ほど。

形にしてみて、他職種メンバー起点でアップデート

インタビュー活用する職種メンバーを中心にヒアリング

弊社の場合、あらゆる職種がインタビューに興味を持って読んでくれますが、中でも活用頻度が高いのがマーケター、PM、デザイナー、広報です。インタビューをどんな視点で確認し、何を探していそうか聞いてみました。

例えば、マーケターだと、広告出稿の参考にするため、属性情報(夫婦?同棲カップル?年代は?)などがパッとわかると良さそうだとわかりました。一方、PMだとプロジェクトの過去経緯や当時の開発状況が把握しやすい、多数のインタビューを確認しやすいことが大事そうです。

インタビュー活用する他職種メンバーにヒアリング

合わせて、インタビューを参照した後、業務の流れ上どういったことに取り組んでいるかも確認しました。インタビューの参照は業務の一部に過ぎないので、それらがどのようなシーンで閲覧され、何に使われるかを知っておくとデータベース構築のヒントになりそうです。

これらの情報を組み合わせて、日付とインタビュー内容だけだった発話録の特徴がつかみやすいように、タグをつけていきました。タグの命名も、他職種が使っている言葉をベースに、誰もが理解できるようなものにしました。(微細ですが、PJ→プロジェクトと記載など)

インタビューごとに発話録とタグ付けで検索性向上

タグ付けしたものを他職種メンバー中心にレビューしてもらう

タグ付けしたら、期待通りになっていそうか他職種メンバーの視点でレビューしてもらいます。一回目のフィードバックでは、「発話録の中身を開かなくても、どんな人だったかパッとわかると嬉しい」「既存のユーザーか、そうでないかはどうやって見分けるのか?」などが出てきました。

やはり形にしてユーザー(この場合だと他職種メンバー)に見せるのは大事ですね。ユーザビリティテストを実施しているような気分です。いただいたフィードバックをもとに登場したのが3行サマリです。インタビューの要約で、トピック性のあるところを中心に紹介しています。(さながら書評です。)インタビュー件数が膨大なので、どれから読もうかな…と考える時の助けになっているようです。

データベース完成!…まだまだアップデートは続く

リサーチ関連データをnotionにすべて集約、アクセス性を高める

ほぼ完成形に仕上がったので、試験運用することにしました。インタビューデータベースと合わせて、リサーチ関連の全データの整理も並行して行っていたので、ここまで来るのに半年かかりました。

一定運用してみて、新入社員も活用頻度が高くなりそうだ、という感触を得ました。オンボーディングの時の情報として、会社理解・ユーザー理解を深める位置付けでインタビューが適していたのです。

そこで、新入社員にもデータベースを見てもらい、わかりにくい部分がないかフィードバックをお願いしました。話を聞く中で、当時の開発状況がわからないことで、ユーザーの発言背景の理解が及ばないシーンがありそうだと気づきました。そこで生まれたのが「プロダクト年表」です。アプリのアップデート情報、広報関連、ユーザー行動に影響を及ぼしそうな社会情勢などを記載しています。

当時の開発状況とセットでユーザーの背景理解をサポート

他、リサーチャーがデータベースを更新するため、チームとしての使いやすさや気づいた点は細かくアップデートをかけています。Notionの場合、タグからフィルタをかけて探すことができるので、適切なタグを置いておけばある程度のボリュームがあってもアクセスのしやすさが担保できているのではないか、と感じています。

最後に

今回、合同勉強会というかたちで情報交換しましたが、インタラクティブに具体的な実践事例をやりとりしたり、相談できたりするのがとても良いなと感じました。

ちなみに、私が今ぜひ知りたいと思っているトピックは、定量調査、定性調査を組み合わせたmixed methodの実践事例です。取り組まれている会社様がいらっしゃったら、ぜひ、情報交換や勉強会をしたいと思いますので、お気軽にお知らせください。(PM、データアナリストの方などリサーチャー以外でも大歓迎です!)


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