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B/43を運営する株式会社スマートバンクのメンバーによるブログです

PMが育休取得した(後編):同僚との感想戦 & 上司へのインタビュー

おはようございます、こんにちは、こんばんは。スマートバンク社プロダクトマネージャ(以降PMと記載)のBNBNです。2023年5-6月の2ヶ月間育児休業を取得していました。

前編では自分と家族の体験談を書きました。 blog.smartbank.co.jp

後編では引継ぎ先同僚との感想戦 & 上司へのインタビューを掲載します。育休取得の検討をするときは「家族にとって良いことなのか」という観点と同じくらい、「職場の上司・同僚が好意的に捉えてくれるのか」が重要な判断材料になります。

この記事を読むことで「スタートアップでも子育てしながら働けそうだな」「こういう引継ぎをすれば仕事が回りやすいんだな」「この点は改善したほうがもっと良い運用ができそうだな」「経営陣の本音はこんな感じなのか」など、感じてもらえたら嬉しいです。

良かった事も、上手くできなかった事も、明かしたことがない社内事情も、めちゃくちゃ正直に書いてるので、リアリティを感じてもらえると嬉しいです。

BNBN育休感想戦の参加者紹介

感想戦はオンラインでやりました。jouさんだけろくろ回してます

  • @jou : BNBNが担当していたB/43プラスプロジェクトを途中から引き継いだProduct Manager。写真左下
  • @nyanco : CSとしてB/43プラスプロジェクトに参画。規約・ヘルプや、リリース時のユーザーコミュニケーションを引継いだ。写真左上
  • @putchom : DesignerとしてB/43プラスプロジェクトに参画。 @jou & @nyanco と一緒に仕事をしていたので、引継ぎ先の方達の仕事ぶりを一番近くで見ていた人。写真右上
  • @BNBN : 本記事の執筆者 。写真右下

Q1. BNBNの育休期間困ったことはありましたか?

jou)覚えている出来事は2つあります。

1つは過去の仕様検討背景が分からなかったこと。決定事項はドキュメントに残っているけど、議論背景まで残っておらず、「こういうのどう決めたか覚えてますか?」とか聞いて回ったりしました。どういう背景・判断軸で決めたかをリバースエンジニアリングをしていましたね。

2つ目はリリース時のマーケティング・広報周りです。BNBNさんがどこまで考えていたか分からず、ゼロから考えていいかどうか不安でした。加えて自分がプロダクトの仕様を考えていないので、コミュニケーションデザイナーの案に自信を持ってYes/Noとはっきり答えにくかったです。なので、デザイナー・UXリサーチャーに聞きながら確認していました。

putchom) 自分自身は特に困ったことがないですね。

nyanco)プロジェクト自体はスムーズに進んでいた印象はありますよ。

BNBN) なるほどなるほど。ちなみにお二人が近くで見ててjouさんが困ってそうなシーンはありましたか?

putchom) jouさんは入社した直後で、なおかつプロジェクトに途中参加してたんですよ。なので、育休云々を置いたとしても、難しそうだなと思ってました。ドキュメントが残っているとはいえ、文字で伝わる情報量の限界はありそうだし。

nyanco)リリース前にユーザビリティテストをしたときに、いくつか文言の修正箇所が出たんですよね。元の案に対して「ここ新規ユーザーには伝わりにくい気がします。なぜこの表現になってるのですか?」と聞かれて、理由がすぐに分からなかった記憶があります。BNBNさんが社内異動で他部署にいたら経緯を口頭で聞けるけど、育休中は流石に聞けなかったですね。なので、細かいニュアンスはどうしてもわからなかったこともある。

putchom) 当初のメインターゲットは既存ユーザーだったんですよね。このフィードバックを受けて議論をした結果、新規もターゲットにした方がグロースするよねって方針に意思決定をし直したんですよね。

jou)育休中の引継ぎは、退職後の引継ぎよりも難しい側面あるかもと思って、退職だったら全て自分の判断で決められるんです。でも育休だと担当者が復帰するので、復帰後に「自分が考えてた方針と違うことになってる」と不満に思ったりされないか、若干不安でした。

BNBN) 自分は育休で職場にいないから、その期間にされる意思決定に関しては全て従う心づもりでした。働いている人が判断して決めたことを全て尊重すべきだなと思って。逆にjouさんに質問ですが「育休復帰後はjouさんの判断を全て受け入れるから気にせず判断・決断をしてくださいね」と言葉で伝えていたら、心境は違いました?

jou) それはそうですね。言葉で明確に伝えられると、より安心できた気がします。元々自分で考えて決めてやるって気質・気概はあるのですが、その自分でも前任者がどう思うかな〜って心配は少し抱えていたので。

Q2. 将来的にスマートバンク社で育休を取るイメージ湧きますか?

jou) イメージはすごく湧きました。BNBNさんの引継ぎもそうだったし、元々ドキュメントをちゃんと残す文化ですし。それに加えてプロジェクトメンバーが協力的だったのが印象的です。みんなが後任PMをすごく助けようとしてくれたし、こういう風に周りが後任を助けてくれるなら、安心して育休が取れるなと思いました。

nyanco) 基本ドキュメントが残っている文化なのはいいですよね。逆にドキュメントがなければそれは考えてない、決めてないんですね、って割り切りがしやすそう。重要なことは絶対書いてあるので。

putchom) そもそも1年間に及ぶめちゃ長いプロジェクトなので、ずっと中にいたとしても前に決めたこと忘れちゃうんですよね。本人がその場で聞かれても忘れてることある。それを防ぐ効果としてもドキュメントは大事。

nyanco) 結論どうだったんだっけ?みたいな話は、ドキュメントが残ってても起こることはありますしね。

BNBN) ちなみにputchomさんは将来的に自分が育休取るイメージ湧きましたか?

putchom) 自分に関してはプロダクトデザイナーが採用できて、その人に任せられそうならというのが正直な気持ち。あ〜でもリソース調整できるならいけるかのなあ。う〜〜ん、どうだろ。スタートアップで限られた人数で運営していると「自分がやらないと」みたいな気持ちにはなるんですよね。大きい企業にいたときは、1ヶ月自分がいなくても大丈夫だろって思う気持ちはあったのですが。

jou) takejuneさんに実際のところ聞いた方がいいかも。会社としては1人2ヶ月抜けるインパクト結構大きいと思うけど、なぜ社員が育休を取ることを推奨しているか、重要な戦力が抜けた時にどう対処する心づもりなのか、あたりは聞いてみたいです

BNBN) そこは別途自分がtakejuneさんにインタビューしてみますね。

Q3. 育休復帰後のBNBNの様子を見ててどうですか?

jou) 育休からの復帰後2週間でB/43プラスリリースだったのが大変そうだなと思いました。リリース後って色々やること多いじゃないですか。初速を分析してボトルネックになってる部分の対策考えたり、出た実績に応じて事業計画を引き直したり。不在の間に起こったことでコンテキストが分からないことに対しても、調査タスクが発生してましたし。

puthom) 復帰後にいきなり元のパフォーマンスが出せなくても、ある程度は仕方ないと思いますけどね。不在期間もあるから分からないものは分からないし。

jou) 自分の反省にも近いですが、BNBNさんの復帰プランみたいなのをもっと考えても良かったかなと思ってます。2ヶ月会社にいないって、再入社に近い状態じゃないですか。オンボーディング必要な面もあると思うんですよ。

BNBN)完全に上司視点じゃないですか。視座高過ぎる

nyanco)スタートアップはスピードが速いので、変化も大きいですよね。2ヶ月いないだけでも状況が大きく変わるので、そこは周りが助けられることがもっとあるかもしれないですね。

nyanco)仕事以外の面で言うと、第二子が生まれてBNBNさんが更に子煩悩になった感じはありますね。元々育休前も1人目のお子様がMTGに顔出したりしてましたし、お子様とのエピソードもよくお話しされてましたが、その印象が強くなりました。

takejuneさんインタビュー

4名で座談会した時に「経営陣にこれ聞いてみたいよね」と話題になったテーマがあったので、自分の上司であるCXOのtakejuneさんにも別の場でインタビューしました

IT起業家っぽいポーズを取ってくれたtakejuneさん。今入居してるオフィスの雑居ビル感が出てて個人的にはお気に入りのショット

Q1. 「BNBN家に子どもができて、育休取りたいんです」と言われた時は、どう感じましたか?

takejune) 基本的にはめっちゃ嬉しいなと思いました。そういう話を聞くと自分のことように嬉しくなる気持ちになります。9割おめでとうございますで、残り1割でそろばん弾く感じ。1割の計算の中で、jouさんが入ってくれるタイミングだったから何か行けそうだなという見立てをした。

BNBN)9割おめでとうございます、と自然と思えたのはどうしてですか?

takejune)それは自分自身も子育てをする親だからですね。こんなに素晴らしいことはないでしょうという気持ち。10年前から会社をやっているけど、10年前は子供がいなかったので、社員に子供ができたって聞いても、きっとこういう気持ちは湧かなかったと思うんです。

Q2.社員の出産・育休取得に関して、会社としてどんなスタンスで接しよう、と前もって決めてましたか?

takejune) 経営陣の間で事前に何かを話したことはなかったですね。具体的な事例が出てきて初めて議論が始まる議題なので、BNBNさんから育休取りたいと言われるまでは、話した記憶はないですね

BNBN) そうだったんですね。takejuneさん個人としては社員が育休取得することに対しては、どう考えてましたか?

takejune) 社員には気兼ねなく育休取るって意思決定をしてほしいなと思ってます。そして、それが実際できるように会社として準備をしたいとも。とは言えスタートアップは少ない人数でハードワークが必要なフェーズもあるので、もし創業まもない頃に育休取得希望の社員が出ていたとしたら、やりくりが大変だったかもですね。BNBNさんが育休取得したいと意思表示した時は、徐々に陣容が厚くなってきた時期だったので、良いタイミングだったと思います。

Q3.「自分の後任がいない状況だと育休取れないかも」と話していた社員もいましたが、どう思いますか?

takejune) プロダクトデザイナーのputchomさんが感想戦で言ってましたよね。PMと比較すると、プロダクトデザイナーは現時点で冗長化できていない職種ではあるんですよね。育休取得するのは社員にとって当たり前の権利なので、もしそうなって本人が希望するのであれば、躊躇わないで欲しいです。なので、本人が心情的に「取りやすいと思える状況」を作れるように、デザイナーを採用してチームを強化していく必要がありますね。とは言え会社の採用と社員個人のライフイベントが、タイミング合わないケースもありえます。仮に今putchomさんが数ヶ月後に育休取得するみたいな話になったら、自分が手を動かしてデザインします、って選択肢は取りそうですね。

BNBN) 社内にはデザイナー以外にも人数が少ない職種の方がいます。その中の誰かが産休・育休を取りたいと希望するケースに対しては、どう考えますか?

takejune) 広報・人事とかは現状社員1名体制の職種ですよね。あ、でも労務は社員1名体制でしたが、その方は今産休・育休に入っているので、既に実績ありましたね。誰でもどの職種でも育休を取りやすくなるよう組織を強化していくつもりです。それを行った上でも、リソースが潤沢じゃない状況で社員個人にライフイベントが訪れる場合も当然出てくると思います。そんな時でもチームみんなでフォローして、やりくりしていく姿勢は示していきたいです。

Q4. 育休復帰後のBNBNの様子はどうですか?

takejune) B/43プラスリリース前に戻ってきて、すごい慌ただしい時に戻ってきたので、大変そうだなとは思いました。逆に言うとそのタイミングで戻ってきてくれて、ありがたいなとも感じていました。

BNBNさんの仕事の勘が戻ってるか戻ってないかまでは外から見てて分からなかったけど、マインドシェアとして家庭に割く比率が高くなるだろうなとは思ってました。出力は一定そっちに割いているモードなのかな〜と見てましたし、状況的にそりゃそうだろとも思っていました。

ただ、jouさんがプロジェクトをリードしてくれていたので、大きな混乱なく復職できてたと思います。BNBNさん本人も復帰直後の面談でそう話していましたよね。

Q5. 弊社は子育て世代の社員も多くて、個人的には働きやすいと感じているのですが、大事にしてる文化などありますか?

takejune) 僕らファウンダーが文化・雰囲気を決めたとは思ってないです。社員全員が共通して持ってる共通の価値観がそのまま文化になったと理解してます。その共通の価値観を言語化した時に出てきたのがBe Openという言葉です。立場の違い、環境の違いを超えて、相手に理解を示す。みんな自身がそういうスタンスを既に持っていて、周りの同僚もBe Openであってくれると嬉しい。社員がそう思っているんだと理解しています。

BNBN)確かに自然とそうなった感じは分かります。

takejune)あとは、インターネット業界の平均年齢が上がるとともに「家族を最優先する」価値観が、当たり前に支持されやすくなっていると思います。子育て中の人がマジョリティになると、自然とそうなっていく。そっちの意見が通りやすくなってる状況だと思います。逆に今現在子育てフェーズじゃない人たちが、割を食ってなければ良いですけど。仮に「何か嫌だな」「何で自分がフォローしないといけないの?」って本音を持ってても口には出せない雰囲気になってないかは少し心配です。今回、BNBNさんの育休期間を引き継いだjouさんは、サポーティブなスタンスを分かりやすく表現してくれましたけどね。

BNBN) 自分は周りに助けてもらうことが多いなと自覚してます。助けてもらえる事がどれだけありがたいか実感してますし、逆に自分が周りを助けられる時は積極的に動こうと感じています。

takejune) 率先して周りを助けてる人は、最終的に自分が恩恵を受けたりしますしね。子育てに限らず個人の違いに対して寛容であったり、それをカバーし合えると嬉しいです。社員全員の長期的な利益、福祉を作っていけるといいなと思っています。みんなが前向きにサポートし合える文化が薄まらないようにしたいですね。現時点で具体的なアクションにまで落ちているわけではないですが。

Q6.今後も出産・親の介護など、ライフイベントが訪れる方が入社すると思いますが、どのように受け入れようと思いますか?

takejune) 2つあります。

1つ目は「あまり期待し過ぎないでください」ということ。まだ会社も事業も混沌としていて、現在進行形で不確実性に立ち向かっています。社員も多くない。たまたまBNBNさんが育休を取ったケースでは、周りがフォローしやすいタイミングだったのかもしれません。十分な支援を再現性持って提供できる体制があるわけではないし、全てが盤石なわけではないです。

2つ目は、もし入社した方にライフイベントがあった場合は、全力でサポートしたいなということです。整ってないことはまだまだあるし、今の体制も十分じゃないかもしれない。それを受け容れて仲間になってくれた社員を最大限サポートしたいです。きっと僕だけじゃなくて、メンバー全員が同じことを思っていると、自信を持って言えます。

前編後編を書き終えて

後編を読んでくださった方、前編後編を全て読み終えてくださった方、本当にありがとうございます。長かったですよね。自分の育休体験記が前編後編2本の記事になるという、まさかの展開になりました。

「本人が育休取得して良かったと思うのは当然だから、周りの人の本音を書いた方が面白いんじゃない?」という同僚のアドバイスを受けたのが全ての始まり。妻・同僚・上司にインタビューする事になり、普段聞けない本音を聞けて良かったです。

最後に宣伝ですが、実際のところスタートアップの育休どうなの?が気になる方は是非カジュアル面談を申し込んで色々聞いてみてください。 smartbank.co.jp

筆者個人に話を聞いてみたいと思った方は、気軽にカジュアル面談を申し込んでください〜。 youtrust.jp

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