こんにちは、おはようございます、こんばんは、スマートバンクでCREをしている佐藤(@tmnbst)です。12月でCREチームが立ち上がってから1年が経とうとしています。今回は立ち上がりからの1年を振り返ってみたいと思います。
CREとは?
「Customer Reliability Engineering」の略称であるCREは、顧客の信頼性を高めるためのエンジニアリングです。2016年にGoogleが提唱し、顧客との関係を強化し、製品の信頼性を向上させることを目的としています。CREは単に技術的な問題を解決するだけでなく、ユーザーが製品を最大限に活用できるよう支援する役割を担います。
Googleが提唱するCREのコンセプトは、非常に抽象的で理解が難しいことがあります。CREを取り入れようとしても、「本当に必要なのか?」「どこから手をつければいいのか?」といった疑問に直面し、具体的な成果に結びつけるのが難しいことがあります。
そこで、この記事では、実際にCREを実践してきた経験をもとに、CREの立ち上げや運用に関心があるエンジニアやカスタマーサポート関係者に読んでいただけると幸いです。
CREチーム立ち上げの背景
さてチーム立ち上げ前、我々は以下のような状況に直面していました。
- サービス成長のための新機能開発に注力
- CSチームからの依頼に、手が空いているエンジニアがベストエフォートで対応
- サービス規模の拡大に伴う問い合わせの増加とCSチームのオペレーションの複雑化と増加
私は過去にも似たような状況を経験しており、ユーザーに価値あるプロダクトを届け続けるため、CREチームの必要性を感じていました。この考えを上長と共有し、チーム立ち上げへと繋がりました。
立ち上げは、エンジニアとして自分と、CSチームからnyancoの2名体制でスタートし、現在は業務委託のエンジニアも加わり、3名体制で活動しています。
立ち上げ後の取り組みとミッションの設定
最初はCSチームの業務効率化に焦点を当て、主にCSチームが利用する管理画面の改善を行なっていきました。その後、組織図に正式に載るにあたり、チームのミッションを設定しました。ミッション設定の過程では、まず他社のCREチームに関する事例を集め、社内での議論を行いました。この際の主な課題は、CREという役割が企業ごとに異なるため、他社の事例を参考にしつつも、私たちの事業であるB/43にとって最も効果的なミッションを定めることでした。
CREを始める際には、ミッションの設定が最も重要です。先述したように、「本当に必要なのか?」や「どこから手をつければいいのか?」といった疑問は、ミッションを設定する過程で明確にすることが大切で、これらの疑問を具体的な言葉に落とし込み、明確にすることで、疑問を解消し、CREの取り組みの進め方を明確にするのに役立ちます。
出来上がったミッションは以下になります。
1. 顧客の不安をゼロに近づけ、安心してB/43を利用してもらう
- 定性・定量データを活用して、ユーザーの不安要因を特定し、エンジニアリングの力でユーザーが安心してB/43を継続して利用できる環境を作る
2. CSチームの生産性向上
- プロダクトのスケールによって、オペレーションの増加、複雑さが増してくる。対応が遅れたり、適切でない場合、ユーザーの不安を増大させてしまう。これらの問題を解決するために、CSチームの生産性を向上させる
- CSチームが安心して利用できる管理画面、エンジニアに頼らなくてもよいオペレーション構築
- CSチームが使うツールの利用支援
ミッションが決まってチームとして走り出してから起きた課題
限られたリソースで、サービス成長させるため、現在は事業優先度が高いプロジェクトにも参加しています。つまりCREとプロジェクトを掛け持ちしています。バランスは、ほぼ半々になっています。 100%CREの活動ができない中で、如何にミッションを達成出来るかを模索しています。
また現在CREチームはエンジニア2名、CSチーム1名で運営しているため、ユーザーが直面する問題を解決する際には、しばしばモバイルエンジニア、プロダクトマネージャー、デザイナーなどの協力が必要になります。そのため、CREチームだけで問題を完全に解決することが難しく、他のプロジェクトの優先順位を考慮して、一部の改善措置を延期することがあります。
他社CREから聞かれたがスマートバンクでは起きなかった課題
大きな機能をリリースした後にも、バグが少なく、CSチームからのエスカレーションもほとんどないという、非常にポジティブな経験をしました。これは、プロダクトの品質と、CSチームの丁寧な準備の結果だと考えています。特に、プロジェクトの初期段階からCSチームが参加し、機能の仕様を深く理解し、予想されるユーザーからの問い合わせを整理し、必要なドキュメントを用意しているためです。具体的には、社外向けにはヘルプページを、社内向けにはオペレーションマニュアルを作成しています。これにより、ユーザーからの問い合わせに迅速かつ適切に対応できるようになります。
この1年の成果
この1年を振り返ってみると、CSチームの生産性の向上は特に顕著な成果が出せました。その一例として、以前は複雑だったペアカードの解約プロセスを改善したことが挙げられます。
さらに、CSチームが頻繁にエンジニアに依頼していたタスクを、管理画面からできるようにし、業務効率化をしました。また、CSチームからのフィードバックを基に、画面遷移を減らすなどの細かい改善も行い、CSチームの作業効率が大幅に向上しました。
来年はこうしたい
CREチームは現在、事業への貢献度を明確に可視化できる体制の構築に取り組んでいます。これは、チームがどのような状態であれば効果的に事業に貢献しているかを具体的に示すためです。たとえば、CSチームの生産性の向上を目指す中で、具体的にどの数値が改善されたかを明確にし、それを追跡できるようにしたいと思っています。
このような指標をトラッキングし、可視化することによって、チームが健全に機能しているかどうかを把握し、必要に応じて改善策を行うことで、CREチームがより効率的かつ効果的に、事業への貢献を最大化することを目指しています。
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