inSmartBank

B/43を運営する株式会社スマートバンクのメンバーによるブログです

コアユーザーが本当に欲しかったものを探してB/43プラスを作った話

みなさん、こんにちは!PMのBNBN(ぶんぶん)です。自分は2人子どもがいるのですが、この前初めてパパ友とLINE交換して一緒に遊びました。公園で虫取りに出掛けたのですが、子ども達よりパパ達の方が楽しんでいて、最後は子どものことを忘れてセミ取りしてました。

さて、そんな夏真っ盛りの7月12日にリリースしたメンバーシップサービス「B/43プラス」を出すまでに、どんな風に「コアユーザーが本当に欲しかったもの」を探したかを書いてみます。

この記事の想定読者

  • 新機能開発に携わるPM、エンジニア、リサーチャー
  • ユーザーが本当に欲しかったものを探すことが多いPM、リサーチャー
  • 「良いユーザー体験」と「収益化」の狭間で苦悩するPM

B/43とは・B/43プラスとは

B/43(ビー ヨンサン)は、使いすぎが防げるチャージ式のVisaプリペイドカードと、残高と支出がひと目でわかるアプリがセットになったサービスです。磁気カードならカード発行手数料も0円、アプリの基本機能が無料で使えます。 b43.jp

B/43プラスはB/43ユーザー向けの特別なメンバーシッププランです。メンバー限定カードを発行できたり、限定の機能が利用可能になったり、月額480円でおトクな特典が使えるようになります。 b43.jp

「事業収益の柱を作る」目的でPJスタート

B/43プラスを検討し始めた1番の理由は、事業収益の柱を増やすためです。どれだけユーザーが多い&ユーザーから支持を集めているサービスでも、収益体質にならないと運営を継続できません。最悪サービス終了の道を辿ることも。歴史を振り返っても、ユーザーを多く集めたインターネットサービスが、収益の柱を建てるのに苦しんだ事例は複数あります。

B/43を愛してくださるユーザー、期待を掛けてくださる株主の皆さま、人生の貴重な時間を投じている社員自身。関わる全員が長期的にハッピーであるためには持続可能な収益モデルを作り上げることが重要です。

こんな感じで、プロジェクトが始まった目的は「収益化」ですが、ユーザーが本当に欲しかったものを提供しないと使ってもらえないし、何より買ってもらえません。自分たちが提供できそうなパッケージ(=価値仮説)を設定し、ユーザーがそれを本当に欲しいと思うかを検証する。そのプロセスから、B/43プラスの開発はスタートしました。

ユーザー調査前に粗い仮説作り

ユーザーへのアンケート・インタビューは重要ですが、それは検証する仮説があってこそです。B/43が提供するサブスクはどういうものになるか、最初に叩き台を作って議論をしました。叩き台を作る上で、以下の制約条件で考えようと合意。

  1. 収益化観点の制約条件
    1. 1stリリースの提供時期は2023年7月
    2. 原価が掛かる特典(ポイント還元など)は1stリリースでは出さない
  2. 最低限提供したいユーザー体験
    1. 限定カードを出す
    2. ユーザーから要望がある4-5個の特典をセットにしてパッケージ
    3. 価格は月額500円を切る価格に設定する

海外チャレンジャーバンクのサブスクプランを参考にしながらB/43プラスの骨子を作っていきました。(未リリースのアイデアはボカしてます)

このパッケージ案を作っていく最中に「A機能よりもB機能の方が嬉しいのでは?」「CとDはセットでないと価値感じなくない?」のような疑問がたくさん出てきました。この辺りはもうユーザーに聞いてみないとわかりません。なので、調査は次の段階に進むことになります。

ユーザーに受け入れてもらえるのか?

最初に検証が不可欠だったのが「今いるユーザーに月額有料プランを受け入れてもらえるのか」です。今まで無料で使えていたアプリに、月額有料プランが追加されることを、ユーザーはどう感じるのか。本当にお金を払ってくれるユーザーが実存するのか。そこが一番の不安点 & 検証ポイントでした。

「月額有料プランをユーザーに買ってもらえそうなのか」を検証するために、初手でユーザーアンケートをすることにしました。主な論点は以下3つです。

  • 月額有料プランに「お金を出しても良い」と答えるユーザーは何割いるのか
  • ↑のようなユーザーは今現在どんな使い方をしているのか
  • どんな提供価値の組合せが一番多くのユーザーから支持を受けるのか

上記論点を炙り出せる設問を設計し、ヘビーユーザーを中心とした数千名にアンケートを配信しました。

アンケートは好感触!ただわからない点も

多くのユーザーからアンケート回答をいただき、回答者のうち14.5%が「月額有料プランに500円以上払ってもいい」という結果に。アンケート配信前は「有料で使いたいユーザーは本当にいるのか」「数%でもいてくれたら嬉しい」くらいに思っていたので、自分たちとしてはかなりポジティブに感じられる結果です。あくまでアンケートなので、収益化の成功を保証するものではないですが、かなり前向きな気持ちにはなりました。

ただ、結果自体は好感触ですが、チームとしてまだ掴みきれていない点があります。アンケートの中で「B/43で新しく追加される機能で欲しいものは何か」もセットで聞いたのですが、回答者一人一人の実際の感じ方・背景にある生活・心理は読み取れなかったのです。そこで、10名ほどユーザーインタビューをすることに決めて、ユーザーが本当に欲しいものは何か、なぜそれが欲しいのかを探りにいくことにしました。

ちなみにアンケート内で「もしB/43のサービスが使えなくなったとしたら、どう感じますか」という設問があったのですが、その回答としていただいた嬉しいコメントも一部紹介します。

すでにお金の管理、生活する上での一部になっている。

残念です。一生使いたい

代わりになるアプリが他になく、とても重宝している分無くなったら激しく困ります。

B/43も踏まえて買い物をしてるので使えないと計算が狂って困るから。

もともと夫婦で共通の財布を作り管理していたが、b43のおかげで完全にデジタル化ができました。

めちゃくちゃ使いやすいので、絶対なくならないでほしい。

サービス終了なんて考えられないほど、今の生活に不可欠なものです

インタビューでターゲット・商品コンセプトを掴む

インタビューはコンセプトテストを行いました。下記のような手順です

  1. 新機能モックをFigma上で10個ほど見てもらう
  2. 気に入ったものを答えてもらう
  3. 2について理由・そう感じた背景を深掘りしていく

インタビュー実査の中で、ユーザーが発する言葉も注意深く聞いていましたが、自分たちが何より気にしていたのは表情・リアクションの変化です。

  • 身を乗り出すような動き
  • 目を見張るような表情
  • 思わず出る声「おっ」「良いな〜」など

10名ほど実査を重ねる中で、段々とB/43プラスのコアターゲット & 商品コンセプトが見えてきました。その時にまとめたものを一部抜粋します。

<コアターゲット>
B/43で支出(生活費)を一元管理をしている or しようとしているユーザー。細かく管理したい費目があったり、ペース配分しながら月の予算内でやり繰りしたいと思って支出を一元管理しているが、B/43内で貯金をする発想までは至っていない。現状のシンプルなUIを好んでおり、「節約する」「予算内で使う」ことに特化した機能がわかりやすいのを重視。

<商品コンセプト案>
家計の見える化をさらに進める、見える化進化プラン。コアターゲットユーザーは、節約や貯蓄などを意識して、特定の費目を一緒に管理したり、リアルタイムでモニタリングしたいと思っている。

このコンセプト案をもとに@wariemonを中心にしたデザインチームが「お金を通して、未来を照らす」というコンセプトに昇華してくれました。

商品コンセプトに沿って機能を決めて見積り

この段階で各機能のPRD記載 & Figmaでモックを作り、工数見積りをしました。提供したい特典がたくさんある中で、1stリリースで刺さると確信しきれなかった機能を泣く泣く1つ落とすことに。落とした機能も将来的にどこかの段階でやりたい…!

このラインナップで「コアユーザーが本当に欲しいものになってるか」という不安もありました。が、ユーザーに触ってもらう前に機能を盛り盛りにして1stリリースに突き進むのは、地獄への道を丁寧に舗装してるようなものです。自分たちとしては「少し欠けてるかも」くらいの早い段階で1stリリースをして、ユーザーと一緒にB/43プラスを「本当に欲しかったもの」に育てていくアプローチを選択しました。

プレモーテムで実装開始前にリスク低減

弊社エンジニア @ohbarye の提案もあって、プレモーテムを実施することに。スタディサプリさんの事例を参考にして運営しました。

プレモーテムとは、プロジェクト初期にチームで集まり「プロジェクトが失敗したとして、その失敗とは? 原因は? どう対策するか?」を話し合うワークショップです。

実際にやってみると、多くの不安要素が洗い出され、全員で原因・対策・優先順位を議論してネクストアクションを決められたのは非常に良かったです。

ここで出た以下のネクストアクションが、リリース時の品質をグッと上げてくれました。

  • 商品性の確度検証の仕方・ルートを計画する
  • 行っている全機能の見積もりが完了したらスケジュールを改めて組む
  • 効果検証目的のログ設計がまだなので、着手する

(プレモーテムに関しては別途記事化したい…!)

実装時の工夫

弊社エンジニアがマジで凄いなと思ったのが、えいや!で決めた「2023年7月リリース」という目標を、完璧に達成してくれたことです。しかも、作るものがかなり多かったのに、重大なバグが何もなかったのはやばい。

ちなみにこの辺は、8/3(木)の19:00 ~ 20:30で開催されるB/43 Tech Talk 〜 Fintech×サブスクリプションサービス立ち上げの裏側〜にて、B/43プラス開発に関わったエンジニアが詳細を話す予定なので、読者の皆さんぜひ遊びにきてください〜。

タイムスケジュールだけチラ見せしておきます

  • 19:00 ~ 19:10 はじめに
  • 19:10 ~ 19:20 LT①:サブスクリプションサービスをつくる時にエンジニアが考えること @ohbarye
  • 19:20 ~ 19:30 LT②:クレジットカード発行システムの裏側 @uribou
  • 19:30 ~ 19:40 LT③:ユーザー自由度の高い機能のためのテーブル継承戦略(仮) @hirotea
  • 19:40 ~ 19:50 LT④:サブスクリプション機能制御の設計における勘所 @rockname
  • 19:50 ~ 20:20 トークセッション:B/43プラスを作るエンジニア/PM/リサーチャー協業の裏側
  • 20:20 ~ 20:30 Q&A / フリートークタイム

リリースの反響

無事に7/12(水)にリリースできました!おかげさまでB/43プラス加入ユーザーが日々増えていて、リリースに携わったPMとしては少し安心しています。

B/43ユーザーの公開ツイートを拝借して、どんな感想があったかを共有します。

嬉しいお声を多くいただいていますが、まだまだB/43プラスの魅力は増していけると思ってますし、第二弾・第三弾と大型アップデートも予定しています。1stリリースで泣く泣く落とした機能もあります。リリースしてからが「本当に欲しかった理想の家計管理サービス」を作り上げる本番です。ユーザーの皆さんと一緒に、素晴らしいサービスに育てていきます。

最後にもう一回告知

8月3日(木)19:00 ~ 20:30に、ブログに書けてないことも含めて、実際のPRDとか画面投影しながらぶっちゃけトークしようと思うので、ぜひ遊びに来てくださいね〜。

smartbank.connpass.com

スマートバンクでは私たちと一緒に「ユーザーが本当に欲しかったもの」をつくりたいプロダクトマネージャーを大募集しております。詳しくはプロダクトマネージャーに興味がある方へにまとまっていますので是非ご覧ください〜!

smartbank.co.jp

We create the new normal of easy budgeting, easy banking, and easy living.
In this blog, engineers, product managers, designers, business development, legal, CS, and other members will share their insights.