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B/43を運営する株式会社スマートバンクのメンバーによるブログです

Kaigi on Rails2023の総括と技術広報について

こんにちはスマートバンクでCTOをしております@yutadayoです。Kaigi on Rails 2023 が開催され、予定していたアフターイベントや各種SNSでの発信なども無事完了することができました。今回はこのタイミングで初スポンサーさせていただいた知見や、取り組んだ事例を振り返ったまとめ記事を紹介していきたいと思います。

想定する読者

  • テックカンファレンスでスポンサーする上での知見やノウハウなどが知りたい方
  • エンジニアが技術発信を促進する方法や取り組みについて知りたい方
  • スポンサーをする意義や効果について知りたい方

テックカンファレンスへのスポンサー背景

実はスマートバンクでは会社をあげてのスポンサー活動は今回が初めてになります。スポンサーする意義は各社様々かと多いますが、スポンサー活動をする前に下記のような課題を感じていました。

  1. 採用活動をする中で、スマートバンクや B/43 のことをまだまだ知ってもらえていない
  2. Ruby コミュニティに貢献したい

1に関しては、採用活動としてスカウトや各種イベントなどに参加する中で、まだまだ自分たちのこと、そしてサービスのことを知っていただけている人は一部なんだなと実感することが体感的に多く、また候補者の方にヒアリングしている認知経路のデータからも明らかでした。
また、2についても今年から Gotanda.rb を主催し、Rubyエンジニアのコミュニティ運営として一定の活動もしてきたため、より活動を加速させていきたいと考えておりました。

gotanda-rb.connpass.com

ですので、自社の知名度を上げていく、特にRubyを使って開発をしているという部分はもっと世のエンジニアに知ってもらい、Rubyコミュニティに良い知見を還元してくという目的でスポンサーをすることに決めました。 また、Kaigi on Rails に関しては、自分自身の参加は勿論、ohbaryeshohei1913 が過去2年連続登壇するという実績もあったため、これは…スポンサーするっきゃない…! という思いもありました。

技術広報の体制について

スマートバンクでは、採用やそれに繋がる広報活動もプロダクト開発と同等の重要な課題として定義しています。ですので技術広報自体に取り組むチームが存在し、さらに目的に応じてそこから、いくつかのサブチームも分かれて存在しています。今回はサブチームの1つでもあるスポンサーチームが目標を立てて、Kaigi on Rails に取り組んで来た形になります。

例として下記のようなチームに分かれてエンジニアだけでなく他職種のメンバーにも参加してもらいながら広報活動を行っています。

  • スポンサーチーム
    • イベントへのスポンサーやスポンサープランの検討
    • ブースやスポンサープランに合わせた企画・施策の実行
  • 自社発信強化チーム
    • テックブログの発信促進、執筆内容のアイディア出しやプロポーザル提出のサポート等
    • 自社イベントの企画 / 開催
  • プレゼンス向上チーム
    • Xアカウントのフォロワー増加施策
    • 技術コミュニティでのネットワーキング活動のサポート

人数が少ないスタートアップでは特定の個人の頑張りによって、技術広報が成立している状態もあるかと思いますが、スマートバンクでは強化したい広報課題を対象としたチーム組成とチーム毎に施策や仕組み化を行うことで、ボトムアップで技術発信を促進していけるようにしています。このあたりはまた別のエントリーで詳しく紹介したいと思います。

スポンサー活動として取り組んだ事の振り返り

Kaigi on Rails でのスポンサー活動に加え、今回はイベント自体を盛り上げつつ自分たちのことを知ってもらう機会も作りたかったので、イベント本番は勿論ですが、その前後でも施策をやることを決めました。最近は大きいイベントの前後で各社さんも工夫を凝らしてイベントをされているので、参考にもさせてもらっています。

イベント前

イベント前は大きく2つのことを実施しました、それぞれご紹介しようと思います。

孤独のCTOグルメ

いきなりネタっぽくてアレですが、久しぶりのオフラインイベントというのもあり、会場付近のランチ場所を紹介するというのをドラマ孤独のグルメのオマージュとして実施しました。これはメンバーが企画して私がロケにいくという程で実施し、カロリー過多に苦しんだものの、当日紹介したお店に行ってくださった方々もチラホラ見かけて非常に嬉しかったですね。

blog.smartbank.co.jp

Reject on Rails 2023

Gotanda.rb の55回目として、Kaigi on Rails に通らなかったプロポーザルの発表の場として Reject on Rails 2023 を開催し、当日は50名近い方に参加いただけました。今年は例年よりも応募が多かったそうなので、こういった場で本来なら聞けなかった発表が聞けたのも良かったですね。

gotanda-rb.connpass.com

オーガナイザーとして司会させていただく筆者

当日

ブース & ワークシャツについて

当日はブースにも当選していたため、お揃いのワークシャツを着て、ブースの設営と来場者対応を2日間に渡り行いました。今回のイベントにあたりブースも初だったため、デザイナーを中心としてブースやワークシャツのデザイン、当日のコンテンツなどを用意し万全の体制で臨みました。詳しくは下記ブログを見ていただけると良いかと思います。

blog.smartbank.co.jp blog.smartbank.co.jp

良かったポイントの要点を紹介すると、下記1 ~ 3 を実践し、ブースに来ていただいた方が留まって下さることで、さらに賑わってる感を見て人が更に来てくれるという循環が作れたのが大きかったと思います。

  • [1] エンジニア全員で参加、ブースに集客する
    • 多いに越したことはないということで、10人以上で参加し呼び込みや、来場者対応を行う
  • [2] ブースに興味を持ってもらう仕掛けを作る
    • オーソリ電文くじという、サービス体験と景品がセットでもらえるコンテンツを用意する
  • [3] ブースに留まって話せるようにする
    • サービスのアーキテクチャ図を掲載し、その場でQ&Aや、登壇者と話せるようにする

登壇について

今年は登壇3名とスポンサーLTもあり、合計4人が発表することになりました。それぞれの発表内容を発表順に振り返っていきましょう。

speakerdeck.com

我々のコアなシステムである決済電文の処理フローについてを実装した機能を交えて紹介した発表になります。決済は返金時や海外事務手数料などが絡んで来ると処理のパターンが膨大にあり、まさに沼のような開発を泥臭く対応しているエモい内容に仕上がっております。

speakerdeck.com

MySQLのオンラインDDLについての考察と、それらを踏まえた上で、安全にデプロイする方法についてを実際にB/43で採用した例を交えながら解説した発表になります。オンラインDDLの注意点について理解を深めたい方にもおすすめな内容です。

speakerdeck.com

サービスの管理機能を作るにあたって管理機能の特性に注目し、そこからアーキテクチャのパターンを解説しつつ、実際にB/43で採用したパターン例を紹介した発表になります。これから管理機能を作る方は是非見てもらえると良さそうです。

speakerdeck.com

スポンサーLTとして筆者が発表した内容になります。Railsで開発しているB/43の開発の規模感やFintech特有の制約がある中で、どのような開発をしているか?またサービスのアーキテクチャがどのようになっているかをダイジェスト的に解説した内容になっております。

どの発表も会場は満員でたくさんの方に聞いてもらえたのが嬉しかったですね。発表の切り口も様々で Kaigi on Rails のテーマ(広くWebに関連したトピックを扱う)にも沿っていて良かったのではと思います。

イベント後

Kaigi on Rails 後も、アフターイベントという形で、スポンサーを行った各社さんと一緒にAfter Kaigi on Rails LT Night を開催しました。こちらも80人近い方に参加いただけて、Kaigi on Rails 運営サイドの舞台裏や過去の登壇者のLTが聞ける豪華な内容になっておりました。

smartbank.connpass.com

アフターイベントでも司会をさせていただく筆者

イベント総括

上記の通り準備段階も含めると多くの予算や工数を使って、エンジニアやデザイナー陣の協力をもとに取り組んできました。初スポンサーでブースも当たり、且つ登壇者も3人いるという嬉しい状況でもあったので、これを機に会社やプロダクトの認知度アップ、そしてイベントを盛り上げたいというのもあり、めちゃくちゃ力が入ったスポンサー活動になりました。

今回エンジニア以外の職種のメンバーを巻き込みながら、少なくないリソースを投下してイベント実施ができた背景として、エンジニアの採用がプロダクト開発と同じぐらい重要で、ひいては採用活動を推進するにあたって、技術広報を行い認知度を高めていく必要があるというのが、社内で共通認識となっていたのが大きいと思います。

スポンサーした結果どうだったのか?

スポンサー活動自体、単発で効果があるものでも無く、少なくとも2~3年継続してスポンサー活動を行うことで、徐々にコミュニティでの認知度が高まっていくと考えています。また、定量で効果が計りにくいものだと思うので、現状はブースの来訪者数やイベント全体での集客数、SNS発信のリーチ数などを参考指標に置いています。

ただ、イベント効果として下記のような内容は社内でも観測されており、単発でのスポンサー活動としての成果も感じています。

  • 「スポンサーをしているのを見た」という理由で、カジュアル面談や選考に応募して下さる方が数名現れている
  • スカウトやカジュアル面談時に登壇資料を見た、発表を見た、SNSなどで社名やプロダクトを見たことがあるといった方が増えている

また、副次的な効果として、スポンサー活動や登壇に積極的に取り組むことで、全社での発信文化の強化やボトムアップで行っている広報活動にも弾みがついたと思っています。

まとめ

Kaigi on Rails 2023 のイベントを総括したまとめをダイジェストでお送りしました。様々な企画を実施し、スポンサー活動をした結果として、良い効果も観測されていますが、イベント直後の一過性で終わらせずに継続して取り組んでいくことが重要だと考えています。また、実際にブースなどでお会いして来場者の方と話す中でも、会社やプロダクトの知名度はまだまだで、もっと知っていただける伸び代があるとも感じています。

既に技術広報スポンサーチームで次回以降のスポンサー活動に役立てられるように、イベントやブース設営をする中で得られた知見のノウハウ化を始めており、次回以降のスポンサーも視野にいれて活動を進めています。

最後に告知ですが、実は年明けに開催される YAPC:: Hiroshima 2024 にメンバーの登壇が2名決まっているのもあり、次回はYAPC 2024に向けてスポンサー活動を行います。

今回の知見を活かして、より良いスポンサー活動ができればと思っています!

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In this blog, engineers, product managers, designers, business development, legal, CS, and other members will share their insights.