こんにちは!
スマートバンクでプロダクトマネージャーをしているじょー(@jouykw)です。
みなさん、チームでプロダクトディスカバリーを進める際、迷子にならずに進められていますか?
お恥ずかしい話、わたし自身は毎度チームでディスカバリーをする途上で何かしらの罠にハマり、少し迷子になってしまうような瞬間があります。
今回はわたしが実際に直面した罠の一例として、「腹落ちしないターゲットユーザー像」がチームのディスカバリーにもたらす影響と、その乗り越え方のヒントについてお話しできればと思います。
そのターゲット像、チームで “腹落ち” してますか?
チームでターゲット像に “腹落ち” するとは、チームのメンバーが皆、「ターゲットユーザー像」を感覚的に捉え、課題に共感できている状態 のことを指しています。
「腹落ち」という言葉の定義を辞書で引くと、下記のような説明がなされています。
腹落ち(はらおち)とは、理解や納得が深まり、心地よい感覚を得る状態を指す言葉である。この表現は、主に複雑な問題や難解な内容について、頭で理解するだけでなく、感情的にも納得感を得る状態 を表す。腹落ちの状態になると、不安や疑問が解消され、安心感や満足感 を得ることができる。
cf. weblio 辞書「腹落ち」より抜粋
ここで重要なのが、
① 頭で理解するだけではダメで、感情的にも納得ができているか?
② 不安や疑問が解消され、安心感や満足感を得られているか?
という2つの問いです。
プロダクトディスカバリーをする上で、ターゲットユーザー像をチームで定義し共有すること自体は当たり前のことかと思います。
しかし、上記の2つの問いに照らしながら
そのターゲットユーザー像、チームで"腹落ち"してますか?
と改めて尋ねられると、どれほど自信を持って Yes!と答えられるでしょうか?
(実は自信を持って Yes とは言えなかったりするチームも少なくないのでは…?)
“腹落ち” していないとチームが迷子に!?
チームでターゲット像が「腹落ち」できていないと、どのようなことが起こるのでしょうか?
結論から言うと、チームでディスカバリーをする中で課題やアイデアをうまく探索・評価ができない という困った状態に陥ってしまいます。
私が実際に体験した、困った状態の具体例を参考までに見ていきましょう。
ワンバンク(旧B/43)では、先日下記のような新機能「AI支出チェッカー」をリリースしました。
かんたんに機能について説明すると、ユーザーが自分自身の支出を振り返り、「大切なもの(Goodな支出)」と「そうでもないもの(Badな支出)」を直感的に分類すると、AIがお金の使い方の好みを学習してくれ、以降ユーザーの価値観に合わせて日々の支出を分析し、良いお金の使い方ができているかをお知らせすることで、理想の家計状態に近づけるようにサポートしてくれる家計管理機能です。
こちらのディスカバリーは当初、N1インタビューを重ね、従来の代替手段ではうまく解決ができていなさそうなターゲットユーザー像・課題として、
ターゲットユーザー:「(仮)新婚夫婦で家計意識が高い人」
課題:「(仮)改善の仕方がわからない」
という課題仮説を立て、どのようなソリューションアイデアであればうまくこの課題が解決できそうか?という議論をチームで進めていきました。
ところが、ここで困ったことが起きます。
それは、チーム内でターゲット像や課題に対しての意見がバラバラで議論が発散し、なかなか前に進めないという状態になってしまったのです。
なぜこのような事象が生じてしまったのか?
丁寧に事象を紐解いていくと、
ターゲット像に「腹落ち」しているかどうか? によって、課題仮説やアイデアに対して、感覚的に筋が良さそうと感じるかどうかが分かれているのではないか?ということが見えてきました。
このままではチームで同じ方向を向き、推進力を出して進めない、、、!
こんな状況を乗り越えるために、私たちのチームが実践して効果があった攻略 Tips を以降ご紹介します。
攻略法1:N1インタビュー動画倍速感想戦
攻略の糸口は、素朴な Slack の書き込みから得られました。
それは、一次情報のインタビューを見ている度合いが、人によってかなり差があるのではないか? ということでした
スマートバンクでは、プロダクトディスカバリーを行う過程でN1インタビューを多数行い、そのすべてを slack の #ux_research_report チャンネルに投稿し、誰でもユーザーリサーチのサマリや生データに触れることができます。
ターゲットユーザー像や課題仮説を定義するドキュメントにも、参考情報としてインタビュー動画を添付しており、誰でも記述の背景になっている生データを見れるようにはなっています。
ところが、それをどの程度見ているかは人によってバラツキがありそうということが次第にわかっていきました。
プロダクトマネージャーは、ユーザーからの一次情報をたくさん得ており、テキストベースのターゲット像の記述からリアリティがある意味合いを感じ取れます。しかし、そのターゲット像の記述が初見のチームメンバーにとっては、ターゲット像が「腹落ち」するまでには、かなりのジャンプがあるかもしれないことに改めて気づきます。
そこで急がば回れの精神で、 チームでN1インタビュー動画を倍速で眺めることから始めました
ターゲットユーザー像の個々の記述の裏にある、具体的なN1がどんな人なのかの肌感を持ってもらい、チームの一人一人がターゲット像を「腹落ち」させるための input 情報を揃えていきました。
これにより、あーこの記述はあの人のあのシーンの発言ね!
というのが、徐々にチーム内でも肌感として補完できるようになっていきました。
攻略法2:ターゲット像の記述をみんなで磨く
一定量の input をチームで持ててきたら、改めてターゲットユーザー像や課題仮説の叩きを眺めながら、プロダクトマネージャーが言語化した叩きのドキュメントに対して、チームの皆さんが違和感を感じる部分や腹落ちしていない部分の記述について、みんなで一緒にブラッシュアップをしていきました。
大事なのは、記述を練り上げるプロセスに主体的に参与してもらうことです。
同じテキストから想起されるものや印象は、人によって異なるケースが多々あります。
ここでは、チームが同じN1インタビュー動画を input として持った状態で、ターゲットユーザー像や課題価値仮説の記述の output を一緒にブラッシュアップすることで、output のワードから同じ意味合いを想起しやすくなります。
ターゲットユーザー像や課題の記述において、異なる解釈を生んでいた部分が磨かれ、チームとしてのターゲット像や課題認識が徐々に擦り合っていくことで、ディスカバリーにおいて作るべきものの要件がよりシャープに言語化できたり、出てきたアイデアに対する評価を、チーム皆が同じターゲットユーザー目線で行えるようになっていきました!
おわりに
いかがだったでしょうか?
すごく基本的なことではありますが、チームとしてのディスカバリーが迷子にならないようにするために、チームでターゲット像を「腹落ち」している状態がとても大事だよという我々の失敗談が、皆さんのお役に立てれば幸いです!
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