こんにちは、おはようございます、こんばんは、スマートバンクでCRE(Customer Reliability Engineering)チームのエンジニアリングマネージャーをしている佐藤(@tmnbst)です。
3月28日に、株式会社MIXI(みてね)、株式会社ログラス、弊社スマートバンクで「CRE Meetup!ユーザー信頼性を支えるエンジニアリング実践例」を開催しました。 mixi.connpass.com
スマートバンクからは、CREチームの自分とotaka(@oh_minisera)が登壇してきました。本ブログでは各登壇内容のご紹介と印象に残ったこと・学び・気づきをレポートしたいと思います。
管理ツールの権限管理で改善したこと - みてね(MIXI) 佐々木 達也
🔍 “増えすぎる権限”にどう向き合うか?
時間が経つと自然に発生するこの課題:
- チームごとに機能追加 → 気づかないうちに権限も増えていく
- 「この人、この機能見れるの、なんでだっけ?」という状態に
- ユーザーデータ(写真・動画)など、重要な情報へのアクセスも曖昧に
そこで登場したのが、気づける&見える化の仕組みです。
🛠 CREが導入した3つの工夫
GitHubのコードオーナー機能で、権限付与を即キャッチ
→ PRの段階で「誰かに権限つけたな?」と検知できる
Roleごとのアクセス権限を“テストコード”で確認
→ 実際にステータスコードでアクセス可否をチェック
→ ドキュメントとしても機能する(変更に強い!)
3.「リクエストがあったときだけ一時的に閲覧可能」な設計
→ 重要なデータはうっかり”アクセスできない構造にする
→ アクセスログも残るので追跡も安心
💡 学び・気づき
“チームが安心して改善し続けられる環境づくり”が本質だった
CREが“止める”のではなく、安心して“進められる”ように支えるという姿勢がとても印象的でした。
管理機能の技術選定 ― 5年後、現場は耐えたか? - スマートバンク 大高光気
「技術選定って、5年後にも“効いてる”のか?」
この問いから始まったセッションは、管理画面のSPA構成(React-Admin)を選んだ判断が、今どんな形で現場に効いているかを振り返るものでした。
🔧 選定のポイントは、3つの“恩恵”
当時の選定理由と、それが今でも機能している理由:
フロントを分離できる
→ PDS(Presentation Domain Separation)を守れる
→ UIとドメインロジックの責務が明確に!
画面を作り込める
→ 審査画面や確認メールの自動生成など、オペレーター向けに特化した体験が可能
JS/TS経験者が多かった
→ React初心者でも2週間で慣れ、1〜3日でCRUD画面が実装できる運用感
⚠️ 見えてきた“成長の痛み”
5年運用すれば、当然出てくる課題もあります:
- 大量データによるページネーションの重さ
- ライブラリのメジャーアップデート対応(v3→v4に6ヶ月!次にv5が待ち構えている)
- 管理機能の役割が多様化し、画面の設計思想にもバラつきが…
💡 学び・気づき
「オペレーターの業務に最適化されたUIを作ること」が、現場の効率とプロダクトの信頼性向上に直結していた
技術選定は「今作りやすいか」だけじゃなく、“5年後のチームが笑ってるか”まで見て選ぶんだなと感じさせるセッションでした!
CSオンボーディング改善におけるCRE的アプローチ - 株式会社ログラス 子田周平
「オンボーディングがうまくいかないと、解約につながる」というtoB事業ならではの、緊張感のあるCSの現場で、CREがどんなふうに伴走し、技術で支援していけるかが語られたセッションでした。
🤝 ポイントは“技術選定”よりも“対話”
印象に残ったのは、「ツールの良し悪し」よりも、CSときちんと話すことを何より大事にしていた姿勢。
- 外部ツールの検証をCREが担当(情シスやBizに丸投げしない)
- SSOの設定・認証まわりの設計に、生成AIを壁打ち相手にして叩き台をスピーディーに作成
- 商談動画を見ながら、実際の顧客とのやりとりを観察・理解
と、CREがCS業務に“入り込んでいく”スタイルが徹底されていました。
💡 決断の速さと柔軟さ
印象的だったのは、「1ヶ月検証して、ある外部システムの導入を見送った」という話。
スピード感もさることながら、完璧な正解を探すのではなく、まず叩いて前に進むというマインドは見習いたいなと思いました。
📌 学び・気づき
CREって“エンジニアリング”で支えるだけじゃなく、「目線を揃える」役割を担う存在でもある
ツール・仕組み・プロセスも大事だけど、最初に向き合うべきは“人”なんだなと改めて思えたセッションでした。
問い合わせ対応の改善取り組みとその進め方 - みてね(MIXI) 星野 将
「問い合わせ対応を、もっと効率よく」そんなCSの願いに、CREがどう関与していったかを紹介したセッションでした。
✋ CREがまずやったのは、“現場に入る”こと
- CS体験留学で、実際に問い合わせ対応をやってみる
- 対応の流れ・ツール・負荷感を、自分たちの肌で理解する
「知識がなくてもマニュアルを見てできた対応」は、仕組み化のヒントに
→ こうしてCRE視点で見つけたのが、“自動化できそうな対応”のパターン。
⚙️ 実際に試したアプローチは?
- Zendeskのプライベートコメント機能を使って、自動返信と人間の返信が一致するかを検証
- ただし、問い合わせの“入り口”がバラバラで、自動化の前にまず正しい導線の整備が必要と判明
海外ユーザー向けには、AI翻訳で対応コストを削減する試みも
→ 試行錯誤しながらも、「現場で回しながら、少しずつよくする」という地に足のついた進め方が印象的でした。
💡 学び・気づき
技術でなんとかする前に、仕組み・運用・ユーザー体験までちゃんと見てる姿勢
そして、すべてを自動化することが目的ではなく、「いま効果が出せるところから着手する」ことで、チームとして前進感をつくるというアプローチに共感しました。
CREとCSチームのコラボレーションで事業を成長させる - スマートバンク 佐藤友信
このセッションでは、私自身が登壇し、「CREとCSの連携でどうやって事業を成長させているか?」についてお話ししました。
特にお伝えしたかったのは、「プロダクトの信頼性やユーザー体験の向上が、CSとの連携によってどう実現されるか」という点です。
事業成長の鍵は“戦略”と“業務効率”の両輪にあり、CREとCSが一体となってそこにどう貢献できるのか。そんな話を、取り組み事例とともに紹介しました。
印象的だった反応として、「Slackのワークフローで社内連携を見える化してるんですね」「問い合わせと事業KPIを結びつけるの、やってみたいです」など、実践に近い部分への共感が多かったのがうれしかったです。
CSから上がってきた課題に対して、エンジニア視点で優先度を整理し、リリース後の効果検証まで含めて一連の流れとして回していることもご紹介しました。この仕組みがあることで、「なぜ今これに取り組んでいるのか」がチーム全体で共有でき、前に進める状態をつくれていると感じています。CSとCREが同じ目線でユーザーを見て、同じ方向に向かって進めているからこそ、プロダクトもチームもスケールしていけるのだと思います。
※スライドの「徹底的な見える化」については以下のブログに詳しく書かれているので、よければご覧ください。
blog.smartbank.co.jp blog.smartbank.co.jp blog.smartbank.co.jp
✍️ おわりに
今回のCRE勉強会では、それぞれの現場でCREがどんな課題に向き合い、どんな工夫でチームやプロダクトを前に進めているのか、リアルな声がたくさん聞けました。
共通していたのは、「ただ技術で支えるだけじゃない」ということ。CSとの対話や、運用のリアル、ユーザーの困りごとに向き合いながら、仕組みと信頼を積み上げていく姿勢が印象的でした。
どれもすぐ真似できるTipsというより、「自分たちのチームだったらどう活かせるだろう?」と考えるきっかけになるような話ばかりで、学びの多い時間でした。
この記事が、CREやCSに関わる誰かの「次の一歩」のヒントになっていたら嬉しいです。
そして第2回を開催できるように考えております!
🥰 個人的に嬉しかった反応:#cre_meetup
to Smartbank.inc
管理画面の名前が A/43 なのオシャレ #cre_meetup
— kga (@kga) 2025年3月26日
スマートバンクさんのCREいいなー楽しそう #cre_meetup
— ちーすけ@異世界おばさん (@16bit_idol) 2025年3月26日
課題登録時にどれくらいの工数かかってるかも入力してもらう。すごいなー #cre_meetup
— Shingo Yamazaki (@zaki___yama) 2025年3月26日
csチームが工数や根拠となるデータまでまとめて課題を起票してるのすごすぎる#cre_meetup
— ウッディ川越 (@woody_kawagoe) 2025年3月26日
スマートバンクでのCREチーム、楽しいですよ!ご興味のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください! smartbank.co.jp